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AIの基本 / AIの全体像

基盤モデルとは:いろいろな用途の「土台」になる、大きく学習したモデル

出典を確かめた日 2026年10月1日(木) / 約7分で読めます

一言で

基盤モデル(foundation model)は、幅広いデータで大きく学習したあと、たくさんの別々の仕事に合わせて作り変えて使えるモデルのことです。2021年にスタンフォード大学の研究者たちが論文で名付けた言葉です。

このページで分かること

先に知っておく言葉

言葉の出どころ

この言葉は、スタンフォード大学の基盤モデル研究センター(CRFM)などの研究者たちが、2021年8月に arXiv(論文の公開サイト)に出した報告「On the Opportunities and Risks of Foundation Models」(Bommasani ほか)で名付けたものです。報告の定め方は、おおよそ次のとおりです。

「言語モデル」「汎用モデル」などの呼び方では、言語に限らないことや、そのままでは未完成で合わせる手間が要ることを表しきれない、として新しい名前にしたと書いています。「foundation(土台)」には、そこから多くの用途向けのモデルが作られる共通の土台、という役割を込めています。建物の土台のように、作りが悪ければ大きな失敗のもとになり、よくできていれば確かな足場になる、という意味もある、としています(論文のたとえ)。ただし、いまの基盤モデルが信頼できる土台かどうかはまだ分かっていない、とも書いています。

出典ごとの説明

  1. 論文(2021年):上のとおり。仕組みそのものは、何十年も前からある深いニューラルネットワークと自己教師あり学習にもとづいており新しくない。新しいのは規模と使える範囲の広さだ、という立場
  2. AI事業者ガイドライン(総務省・経済産業省、第1.2版、2026年3月31日):脚注で、大規模言語モデルを代表とする基盤モデルを、いろいろなサービスを支える個々のモデルを生み出す、中心となる技術の土台と説明している。下流の幅広い仕事に合わせたモデルを作れることなどから、従来の AI とは性質が違う、としている
  3. 情報通信白書(総務省、令和6年版):生成AI のブームの背景の1つに、膨大なデータで学習していろいろな仕事に使える知識を得た基盤モデルや大規模言語モデルを挙げている。これらの登場で、新しい仕事のたびにモデルを学習し直す必要がなくなり、作るのも使うのもずっと楽になった、としている。図では、学習データと ChatGPT などのアプリの間に「基盤モデル(事前学習された大規模モデル)」を置いている
  4. NIST(米国の国立標準技術研究所)の生成AI の文書(NIST AI 600-1、2024年7月):生成AI がすべて基盤モデルから作られるわけではないとしつつ、文書の中では生成AI をおおむね「生成する基盤モデル」の意味で使う、としている。米国の大統領令 EO 14110 が定めた「デュアルユース基盤モデル」の条件(幅広いデータで学習・多くの場合は自己教師あり学習・パラメータが少なくとも数百億・幅広い場面で使える)も紹介している

「創発」と「均質化」

論文は、基盤モデルの大事さを2つの言葉でまとめています。

NIST の文書も同じ点に触れ、出力が似通いすぎるなどの問題が基盤モデルから下流のモデルやシステムへ流れ、基盤モデルが1か所の失敗で全体に響く「ボトルネック」になりうる、としています。

いつからの話か

区切りの置き方は出典によって違います。

関連する言葉

出典

  1. Bommasani ほか「On the Opportunities and Risks of Foundation Models」arXiv:2108.07258、2021年8月16日(第3版 2022年7月12日) arxiv.org ↗
  2. 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」本編 2026年3月31日、第1部「AIとは」と脚注16 soumu.go.jp ↗
  3. 総務省「令和6年版 情報通信白書」第Ⅰ部第3章第1節「AI進展の経緯と生成AIのインパクト」 soumu.go.jp ↗
  4. NIST「NIST AI 600-1:Artificial Intelligence Risk Management Framework: Generative Artificial Intelligence Profile」2024年7月 nvlpubs.nist.gov ↗

確認メモ:2026年10月1日に、上の4つの出典の原文を開いて確かめました。論文は arXiv の第3版(2022年7月12日)の PDF の第1章(はじめに・創発と均質化・名前の付け方)を読み、初版の日付は arXiv のページで確かめました。AI事業者ガイドラインは第1部「AIとは」の本文と脚注16を、情報通信白書は第Ⅰ部第3章第1節の PDF(図表Ⅰ-3-1-3 と、生成AI のブームの背景を述べた段落)を、NIST の文書は脚注1と2.6節(偏りと均質化)を読みました。白書の図は、ボストン コンサルティング グループが上の論文をもとに分析したもの、と出典に書かれています。出典ごとの違いとして、白書は「学習し直す必要がなくなった」と書き、論文はファインチューニングや指示によって「合わせる」ことを前提にしています。また、時期の区切りは論文(2018年の終わり〜2019年)とガイドライン(2021年以降)で違います。どちらが正しいかは決めていません。NIST が紹介する大統領令 EO 14110 の今の扱いは確かめていないため、NIST の文書に書かれている定義として載せるにとどめました。論文の各分野での使い道(医療・法律・教育など)や、基盤モデルを可能にした技術の要因(転移学習・規模)の詳しい説明は、長くなるため載せていません。「モデル」「下流」「自己教師あり学習」「パラメータ」の言い換えは、ふつうの意味を一言で添えたものです。AIログのニュースでは、この言葉はまだ出てきていないため、「ニュースでの出方」の節は置いていません。国の文書は公共データ利用規約にもとづき、内容を言い換えて使っています(出典:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」、総務省「令和6年版 情報通信白書」を加工して作成)。