一言で
機械学習は、コンピューターがデータからパターンやルールを見つけ、それを初めて見るデータに当てはめて、予測や見分けをできるようにする方法です。国の白書は、近年の AI の話題の中心にあるのがこの機械学習だ、としています。
このページで分かること
- 機械学習が何を指すか(国の白書と Google の教材の説明の違い)
- 「学習」と「推論」の2つの段階と、データの用意が大事とされる理由
- 教師あり学習・教師なし学習・強化学習の違い
先に知っておく言葉
- モデル:機械学習で作られる、入力を受け取って予測などを出す仕組み
- ラベル:データに付ける「正解」。たとえば迷惑メールかどうか
- ディープラーニング(深層学習):機械学習の手法の1つ(→ 別ページ「ディープラーニング(深層学習)とは」)
- ニューラルネットワーク:ディープラーニングで使われるモデルの形(→ 別ページ「ニューラルネットワークとは」)
- 生成AI:文章や画像などを作り出す AI(→ 別ページ「生成AIとは」)
出典ごとの説明
- 総務省「情報通信白書」令和元年版:人の「学習」にあたる仕組みをコンピューターなどで実現するもの、としている。決まった計算の手順(アルゴリズム)にそって、受け取ったデータの中からパターンやルールを見つけ、それを新しいデータに当てはめて識別や予測などをする手法、という説明。例は、ニンジンとジャガイモの写真をたくさん入れると、両者を見分けるルールを見つけ、そのあとはニンジンの写真に「ニンジン」と答えられるようになる、というもの
- 総務省「情報通信白書」平成28年版:数値・文章・画像・音声など、さまざまで大量のデータから、コンピューターがルールや知識を自分で見つけ出す技術、としている。例は、消費者の買い物のデータを大量に学ばせて、その人に合ったおすすめの商品を示す、というもの
- Google の機械学習の用語集:入力データからモデルを学習させるプログラムやシステム、としている。学習したモデルは、学習に使ったデータと同じ分布から取り出された、初めて見るデータについて役に立つ予測ができる、という条件付きの説明。こうしたプログラムやシステムを研究する分野の名前でもある、とも書いている
- Google の機械学習の入門講座:モデルと呼ぶソフトウェアを、データから役に立つ予測をしたり、文章・画像・音声・動画などの中身を作ったりできるよう学習させること、としている
白書の2つの版は「識別・予測・おすすめ」を例にしていますが、Google の入門講座は「中身を作る」ことまで機械学習の説明に含めています。
AI との関係
令和元年版の白書は、機械学習は AI とほぼ同じ意味で使われる場面が多いものの、AI の手法の1つという位置づけだ、としています。機械学習でない AI の例には「エキスパートシステム」を挙げています。また、機械学習の手法の1つに、層をたくさん重ねたニューラルネットワークを使う「ディープラーニング(深層学習)」があり、最近の AI ブームのきっかけになった手法として注目されている、としています。Google の用語集も、正式には機械学習は AI の一分野だが、近年は2つの言葉を同じ意味で使う組織も出てきた、と書いています。AI事業者ガイドラインは、専門家の知識を大量に取り込んで推論するエキスパートシステムを、機械学習をしなくても AI とみなす考えがある、と紹介しています。また、同じガイドラインの用語の定義では、学習データを使った機械学習で得られ、入力に応じた予測を出すものを「AI モデル(ML モデル)」と呼んでいます。
「学習」と「推論」
令和元年版の白書は、機械学習の流れを2つに分けています。
- 学習:データを分析して、識別などに使うパターンを作り上げる段階。できあがったものを「学習済みモデル」と呼ぶ
- 推論:学習済みモデルに新しいデータを入れて、そのパターンにそって実際に識別などをする段階
2つの段階では、ふつう別のデータを使います。ただし、推論が追加の学習になって、学習済みモデルがよくなる場合もある、としています。Google の用語集では、学習はモデルのいちばんよいパラメータ(モデルが学習で決める数値)を決める作業で、1つのデータを数回から数十億回まで使う、と説明しています。
白書は、集めたデータがそのまま使えるとは限らず、写り込んだ余計な物を取り除く(クレンジング)などの下ごしらえが要り、これがデータを使うときの壁になりうる、とも書いています。
学び方の3つの種類
令和元年版の白書は、学び方を大きく3つに分けています。
- 教師あり学習:正解のラベルを付けたデータで学ぶ。文字や画像の認識(分類)や、売上の予測(回帰)などに使う。ラベル付けが要るぶん、データを使う難しさは上がる、と白書は書いている
- 教師なし学習:ラベルを付けないデータで学ぶ。似たものを集めてグループに分ける「クラスタリング」で、顧客をグループ分けするといった使い方がある
- 強化学習:決まった環境の中で試行錯誤し、行動に報酬を与えることをくり返して、長い目で見てよい行動を学ぶ。ロボットの制御や戦略ゲームなどに使う
白書は、このうち最初の2つを組み合わせた「半教師あり学習」も使われている、としています。Google の入門講座は、この3つに「生成AI」を加えた4つの区分を挙げ、1つの仕組みがどれか1つ以上にあてはまる、としています。教師あり学習について、Google は、問題と答えの両方が載った過去の試験で勉強した生徒が、新しい試験に備えられるようになる、というたとえを使っています(Google の入門講座のたとえ)。
関連する言葉
- AI(人工知能)・ニューラルネットワーク・ディープラーニング・学習(事前学習)と推論・生成AI(→ この欄の別ページ)
出典
- 総務省「令和元年版 情報通信白書」第1部第1章第3節 2(1)「AIに関する基本的な仕組み」2019年 soumu.go.jp ↗
- 総務省「平成28年版 情報通信白書」第1部第4章第2節「人工知能(AI)の現状と未来」(3)「代表的な研究テーマ」の図表4-2-1-6、2016年 soumu.go.jp ↗
- Google for Developers「Machine Learning Glossary」の machine learning・training・artificial intelligence・label の項 developers.google.com ↗
- Google for Developers「Intro to Machine Learning:What is Machine Learning?」 developers.google.com ↗
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」本編 2026年3月31日、第1部「AIとは」と関連する用語の定義(「AI モデル(ML モデル)」の項) soumu.go.jp ↗
確認メモ:2026年10月1日に、上の出典を開いて確かめました。令和元年版の白書は「AIに関する基本的な仕組み」のページの本文と、図表1-3-2-1(AI・機械学習・深層学習の関係)・図表1-3-2-5(機械学習の種類)の画像を読みました。分類・回帰・戦略ゲームの用途とロボットの制御という言い方は、本文ではなく図表1-3-2-5に書かれているものです(本文には強化学習の例として二足歩行ロボットが出てきます)。平成28年版の白書は、図表4-2-1-6(人工知能の代表的な研究テーマ)の「機械学習」の欄を画像で読みました。Google は用語集の該当の項と、入門講座の「What is Machine Learning?」のページを読みました。出典ごとの違いは、白書が識別・予測を中心に説明しているのに対し、Google の入門講座は中身を作ることまで含めている点と、学び方の区分が白書は3つ、Google は生成AI を加えた4つである点です。Google の入門講座にある回帰・分類の詳しい例(家の値段・到着時間など)と、雨量の予測を物理の計算で解くやり方との比べは、長くなるため載せていません。「アルゴリズム」「パラメータ」の言い換えは、ふつうの意味を一言で添えたものです。AIログのニュースでは、この言葉はまだ出てきていないため、「ニュースでの出方」の節は置いていません。国の文書は公共データ利用規約にもとづき、内容を言い換えて使っています(出典:総務省「令和元年版 情報通信白書」「平成28年版 情報通信白書」、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」を加工して作成)。