一言で
生成AI は、文章・画像・音声・プログラムなどを作り出せる AI をまとめた呼び方です。1つの技術の名前ではなく、まとめて呼ぶための言葉で、出典によって線の引き方が少しずつ違います。
このページで分かること
- 日本の国の文書・米国の文書・AI の教材が、生成AI をそれぞれどう説明しているか
- 2022年ごろから急に広まった理由として、白書が挙げていること
- 公的機関が挙げている、生成AI ならではのリスク
先に知っておく言葉
- AI モデル:学習によって作られ、入力に応じて予測や出力を返す仕組み
- 基盤モデル:大量のデータで学習し、いろいろな用途に合わせて使えるモデル(→ 別ページ「基盤モデルとは」)
- 大規模言語モデル(LLM):大量の文章で学習した、文章を読み書きするモデル(→ 別ページ「大規模言語モデル(LLM)とは」)
- ディープラーニング:層を重ねたニューラルネットワークで学ばせる機械学習(→ 別ページ「ディープラーニング(深層学習)とは」)
- ハルシネーション:AI がもっともらしく誤った内容を出すこと(→ 別ページ「ハルシネーション」)
出典ごとの説明
- AI事業者ガイドライン(総務省・経済産業省、第1.2版):文章・画像・プログラムなどを作り出せる AI モデルを土台にした AI を、ひとまとめにした呼び方としている。文部科学省の生成AI のガイドライン(Ver.2.0、2024年12月26日)も、このガイドライン(第1.01版)の定義を使っている
- 情報通信白書(令和6年版):テキストや画像、音声などを自ら作り出せる AI の技術をひとまとめにした呼び方、としている。ガイドラインは「AI」、白書は「AI の技術」をまとめた言葉として書いている
- NIST(米国の国立標準技術研究所)の NIST AI 600-1(2024年7月):米国の大統領令 14110 の定義を使っている。入力データのつくりや特徴をまねて、画像・動画・音声・文章などの合成のコンテンツを作る AI モデルの種類、という説明。生成AI のすべてが基盤モデルから来ているわけではないが、この文書の中ではおおむね生成型の基盤モデルを指す、と断っている
- Google の機械学習の用語集:正式な定義はまだ無い、新しい分野としている。そのうえで、多くの専門家の見方が一致している点として、生成AI のモデルは、込み入っていて・筋が通っていて・独自の、という3つをすべて満たすコンテンツを作れる、と書いている。例は、大規模言語モデルと、画像・音楽や話し声・動画を作るモデル。それより前の技術(LSTM や RNN)を生成AI に含めるかは、専門家の間で意見が分かれる、とも書いている
いつ・なぜ広まったのか
令和6年版の白書は、2022年に OpenAI が対話型の AI「ChatGPT」を発表したことを、生成AI が特に注目されるきっかけとしています。ChatGPT は5日で100万ユーザーに達し、公開から2か月でユーザー数が1億人を超えた、と書いています。文部科学省のガイドラインも、令和4年(2022年)11月の ChatGPT の公表・リリースから、社会に急速に広まった、としています。
広まった背景として、白書は次のような点を挙げています。
- ディープラーニングや Transformer(→ 別ページ「Transformer と注意(アテンション)」)のモデルが作られ、大きくなったことで、言葉の処理や画像づくりの精度が大きく上がった
- 基盤モデルや大規模言語モデルが出てきて、新しい作業のたびにモデルを学習し直す必要がなくなった
- クラウドと GPU で計算の力が増え、ソースコードの公開も進んだ
- 使いやすい画面や API(プログラムから使う窓口)で提供され、AI と対話することが身近になった
AI事業者ガイドラインは、2021年以降に基盤モデルが広がったことで、予測・提案・決定だけでなく、画像や文章まで作る生成AI が普及した、と説明しています。
生成AI ならではのリスク
- AI事業者ガイドライン:特に生成AI について、知的財産権の侵害や、偽情報・誤情報が作られて広まることなど、これまでの AI には無かった社会的なリスクが生まれている、としている
- 情報通信白書(令和6年版):ガイドライン(第1.0版)が挙げるハルシネーションのほか、指示に入れた個人情報や機密情報が出力などから漏れること、ディープフェイク(作り物の画像・動画)などの偽情報をうのみにすること、AI の答えをうのみにし続けると元の情報にある偏りが大きくなって広がることも指摘されている、と書いている
- NIST AI 600-1:生成AI で新しく生まれる、または大きくなるリスクを12に分けている。作話(ハルシネーション)、データのプライバシー、環境への影響、有害な偏りや均質化、情報の正しさ(インテグリティ)、情報セキュリティ、知的財産などが含まれる
関連する言葉
- 基盤モデル・大規模言語モデル・ディープラーニング・Transformer と注意・ハルシネーション・著作権と学習データ(→ この欄の別ページ)
出典
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」本編 2026年3月31日、「はじめに」と第1部「AIとは」 soumu.go.jp ↗
- 総務省「令和6年版 情報通信白書」第Ⅰ部第3章第1節「生成AIの急速な進化と普及」 soumu.go.jp ↗
- 総務省「令和6年版 情報通信白書」第Ⅰ部第4章第1節「生成AIが抱える課題」 soumu.go.jp ↗
- 文部科学省 初等中等教育局「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」2024年12月26日 mext.go.jp ↗
- NIST「NIST AI 600-1:Artificial Intelligence Risk Management Framework: Generative Artificial Intelligence Profile」2024年7月 nvlpubs.nist.gov ↗
- Google for Developers「Machine Learning Glossary」の generative AI の項 developers.google.com ↗
確認メモ:2026年10月1日に、上の出典の原文を開いて確かめました。定義は出典ごとに言葉が違うため、1つに決めずに並べています。文部科学省のガイドラインは AI事業者ガイドラインの第1.01版から定義を引いていて、その文が第1.2版の定義と同じであることを確かめました。NIST のリスクは12のうち一部の名前だけを挙げています。使う側の心がまえ(文部科学省のガイドラインの学校向けの基本の姿勢など)は、言葉の説明から外れるため載せていません。文部科学省のガイドラインの図「生成AIとは」は画像で文字を読めず、使っていません。「大規模言語モデル」「API」「ディープフェイク」の言い換えは、ふつうの意味を一言で添えたものです。AIログのニュースでは、この言葉はまだ出てきていないため、「ニュースでの出方」の節は置いていません。国の文書は公共データ利用規約にもとづき、内容を言い換えて使っています(出典:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」、総務省「令和6年版 情報通信白書」、文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」を加工して作成)。