一言で
プロンプトは、言葉を扱う AI のモデルに入力する文章のことです。システムプロンプトは、モデルに目的や役割を指定するなど、前提の情報と指示を与えるためのものです(Anthropic の説明)。
このページで分かること
- プロンプトが何を指すか(出典ごとの説明)と、どんな種類があるか
- 見本を入れるだけで仕事をさせられる仕組み(コンテキスト内学習)
- システムプロンプトと、ふつうのプロンプトの違い(各社の公式の説明)
先に知っておく言葉
- 大規模言語モデル:大量の文章で学習した、文章を読み書きするモデル(→ 別ページ「大規模言語モデル(LLM)とは」)
- パラメータ:モデルが学習で決める数値(→ 別ページ「パラメータとモデルの大きさ」)
- コンテキストウィンドウ:モデルが一度に参照できる量(→ 別ページ「コンテキストウィンドウ」)
- API:プログラムから AI を使うための窓口(→ 別ページ「API と料金の数え方」)
出典ごとの説明
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」(第1.2版、2026年3月31日):生成AI で、AI を使う人の入力をプロンプトと呼ぶ、と脚注で説明している
- 文部科学省の生成AI のガイドライン(Ver.2.0、2024年12月26日):「指示文(プロンプト)」と書き、児童生徒の学びでは、課題をうまく設定し、プロンプトで自分の欲しい結果に近い出力を引き出したうえで、出てきたものが正しいか・ふさわしいかを見極められることが前提になる、としている
- Google の機械学習の用語集:大規模言語モデルに、ある形でふるまうように入力する文章すべて、としている。短い一句のこともあれば、小説1冊分のように長いこともある。種類として、質問・指示・見本つき・役割つき(「物理学の博士に向けて説明して」のように相手を指定する)・続きを書かせる途中までの文、を挙げている
- OpenAI(ChatGPT の会社)の説明:文章を作るモデルへの入力が「プロンプト」で、プロンプトを組み立てることは、ふつう指示や仕事の見本を与えることによる、モデルの「プログラミング」にあたる、としている(OpenAI のたとえ)
見本を入れるだけで仕事をさせる(コンテキスト内学習)
AI事業者ガイドラインは、大規模言語モデルなどの生成AI では、使う人がプロンプトを入れることで、学習済みのパラメータを変えずに、特定の仕事のための学習をさせられる、と書いています。これを「コンテキスト内学習」と呼んでいます。
GPT-3 の論文(2020年)も「in-context learning」という言葉を使っています。論文は、モデルを学習し直さずに、渡す見本の数で3つに分けて試しています。
- zero-shot:見本を入れず、言葉による指示だけを与える
- one-shot:指示に加えて、見本を1つだけ入れる
- few-shot:見本を、コンテキストウィンドウに収まるだけ入れる(論文ではふつう10〜100)
Google の用語集は、few-shot はふつう zero-shot や one-shot より望ましい結果になるが、そのぶんプロンプトが長くなる、としています。
システムプロンプト
- Anthropic(Claude の会社):API の説明で、システムプロンプトを、Claude に目的や役割を指定するなど、前提の情報と指示を与える方法、としている。指示の書き方の説明では、システムプロンプトで役割を決めると、Claude のふるまいと口調がその使い道に合わせて絞られ、1文だけでも違いが出る、としている
- OpenAI:確かめたページ(Text generation)には「システムプロンプト」という言葉は無く、ふるまいの前提を与える方法を、
instructionsという設定と、メッセージの役割(ロール)で説明している。instructionsは、口調・目的・正しい返事の例など、ふるまいの大まかな指示で、inputに入れたプロンプトより優先される。役割は、アプリの開発者が書く「developer」、使う人が書く「user」、モデルが書いた「assistant」の3つで、developer のメッセージは user より優先される、としている。developer と user の関係を、プログラムの関数の定義と、そこに渡す引数にたとえている(OpenAI のたとえ)
Anthropic の API の説明では、入力のトークン数に、メッセージ・システムプロンプト・ツールがまとめて数えられます。
プロンプトの書き方(プロンプトエンジニアリング)
欲しい返事を引き出すプロンプトを作ることを、プロンプトエンジニアリングと呼びます。
- Google の用語集:人が行う作業で、事前学習(と、場合によってはファインチューニング)に使ったデータや、返事を作るときの設定(温度など)といった多くの要素に左右される、としている
- OpenAI の説明:モデルの出力は毎回同じとは限らないので、プロンプトで望む出力を得るのは、こつ(art)と科学の両方が混ざったもの、としている。モデルによって合う書き方が違い、同じ系統の版違いでも結果が変わりうるため、込み入ったアプリを作るときは、本番で使う版を固定し、プロンプトのふるまいを測るテストと評価を用意することを強くすすめている
- Anthropic の説明:Claude を、仕事の決まりや進め方の前提を知らない、優秀な新入社員と考えるとよい、としている(Anthropic のたとえ)。何を求めるかを正確に伝えるほど結果がよくなる、としている
入力する中身の注意(学校での利用)
文部科学省のガイドラインは、校務(学校の事務などの仕事)で使う場合について、適切なセキュリティ対策を取った環境で運用している場合などを除き、成績情報のような重要性の高い情報をプロンプトに入力してはならない、としています。プロンプトに個人情報が入る場合は、サービスの提供者がそれを学習に使うかどうかなどを、よく確かめるべきだ、としています。
関連する言葉
- コンテキストウィンドウ・大規模言語モデル・ファインチューニング・考えてから答えるモデル・プロンプトインジェクション・ジェイルブレイク(→ この欄の別ページ)
出典
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」本編 2026年3月31日、第2部 C「共通の指針」の脚注36 soumu.go.jp ↗
- 文部科学省 初等中等教育局「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」2024年12月26日 mext.go.jp ↗
- Brown ほか「Language Models are Few-Shot Learners」arXiv:2005.14165、2020年 arxiv.org ↗
- Google for Developers「Machine Learning Glossary」の prompt・few-shot prompting・prompt engineering の項 developers.google.com ↗
- OpenAI「Key concepts」の Text generation models の項 developers.openai.com ↗
- OpenAI「Text generation」 developers.openai.com ↗
- Anthropic「Messages」(API の説明)の system の項 platform.claude.com ↗
- Anthropic「Prompting best practices」 platform.claude.com ↗
確認メモ:2026年10月1日に、上の8つの出典の原文を開いて確かめました。AI事業者ガイドラインは、本編のバイアスの段の脚注36(PDF の19ページ目)で、プロンプトとコンテキスト内学習の説明を読みました。文部科学省のガイドラインは、児童生徒の学びの段落と、校務での利用のポイントのうち、情報セキュリティと個人情報の段落を読みました。GPT-3 の論文は、1章と2章の zero-shot・one-shot・few-shot の説明を読みました。プロンプトの説明は出典ごとに書き方が違うため、名前を付けて並べました。システムプロンプトは、Anthropic はこの呼び方を使い、OpenAI は確かめたページでは instructions と developer の役割で説明していたため、分けて書いています。OpenAI の「プログラミング」と「関数と引数」、Anthropic の「新入社員」は、それぞれの公式のページにあるたとえです。プロンプトの書き方の細かい手法(タグで区切る・長い文書を前に置く など)は、Anthropic のページにしか無く、製品ごとの使い方に近いため載せていません。OpenAI の instructions が、その回の返事を作るときだけに効くことなど、API の使い方の細かい点も載せていません。AIログの記事の無料部分で「プロンプト」が出てくるのは「プロンプトインジェクション」という別の言葉の中だけのため、「ニュースでの出方」の節は置いていません(→ 別ページ「プロンプトインジェクション」)。「温度」は、Google の用語集の temperature の訳語です。「パラメータ」「API」の言い換えは、ふつうの意味を一言で添えたものです。国の文書は公共データ利用規約にもとづき、内容を言い換えて使っています(出典:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」、文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」を加工して作成)。