一言で
AI エージェントは、目標に向けて自分で手順を決め、検索やプログラムなどの道具(ツール)を使いながら作業を進める AI の仕組みです。ツールの使用は、モデルが「この道具をこの入力で使う」と決めて呼び出すことで、エージェントを動かす土台になります。
このページで分かること
- 「エージェント」の意味(出典ごとに言い方が違う)
- ツールの使用で、モデルとアプリがそれぞれ何をするか
- エージェントが作業を進める流れと、公的な文書が挙げる気をつけどころ
先に知っておく言葉
- 大規模言語モデル(LLM):大量の文章で学習した、文章を読み書きするモデル(→ 別ページ「大規模言語モデル(LLM)とは」)
- API:プログラムから使う窓口
- AI システム:AI を組み込んで動くシステム(→ 別ページ「AI(人工知能)とは」)
エージェントとは:出典ごとの説明
- AI事業者ガイドライン(総務省・経済産業省、第1.2版、2026年3月31日):特定の目標のために、まわりの状況を感じ取り、自律的に動く AI システム、としている。ここでの「自律」は、高度に自律した状態に限らず、いくらか自律して動くものも入る、と注で断っている。国際標準 ISO/IEC 22989:2022 の定義も参考に載せている。さらに広く発展した考え方として「エージェンティック AI」を挙げ、複数の AI エージェントで自律的に判断して行動を起こす、目標に導かれた AI システムと説明している
- Google の機械学習の用語集:利用者の入力をもとに考え、利用者に代わって行動を計画して実行するソフトウェア、としている。強化学習(→ 別ページ「機械学習とは」)では、同じ「agent」が別の意味で使われる、とも書いている
- Anthropic(Claude の会社)の解説(2024年12月):「エージェント」の定義は人によって違い、長い時間ひとりで動くものを指す人も、決められた手順をたどるものを指す人もいる、としている。Anthropic はこれらをまとめて「エージェント的なシステム」と呼んだうえで、LLM とツールをあらかじめコードで決めた道筋で動かす「ワークフロー」と、LLM が自分で進め方とツールの使い方を決める「エージェント」を分けている。なお、この解説の冒頭には、記事で書いた道具まわりの多くが2024年12月から変わった、という断りが付いている
- OpenAI(ChatGPT の会社)の開発者向けの説明:ツールを使って作業を計画し、やり終えることができ、ほかのエージェントと一緒に動いたり、手順をまたいで文脈を保ったりできるもの、としている
ツールの使用:モデルは「呼び出し」を返す
Anthropic の説明では、ツールの使用は「関数呼び出し(function calling)」とも呼ばれます。OpenAI の説明でも、関数呼び出しは「ツール呼び出し(tool calling)」とも呼ばれるとされています。流れは、両社の説明でおおむね次のとおりです。
- アプリが、使える道具の一覧と説明をモデルに渡す
- モデルは、指示と道具の説明から、道具が要るかを決め、要るなら名前と入力を決まった形で返す(OpenAI の例では、パリの天気を聞かれたモデルが、天気を調べる道具を「場所=パリ」で呼び出す)
- 道具を実際に動かした結果を、モデルに返す
- モデルは結果を使って返事を書く
道具を動かす場所は出典で説明が分かれます。Anthropic は、利用者のアプリの側で動く「クライアントツール」と、Anthropic の設備で動く「サーバーツール」(ウェブ検索など)を分けています。OpenAI は、アプリの側で動く関数のほかに、ウェブ検索やコードの実行などの組み込みの道具がある、としています。
エージェントが作業を進める流れ
Google の用語集は、エージェントが、ふつうは「観察・推論・行動・振り返り」の4段からなる繰り返しを、終わりの条件を満たすまで回す、と説明しています。終わりの条件の例は、目標を達成した・使える資源がなくなった・人が問題に気づいた、の3つです。また、エージェントが使える道具・API・権限の範囲を「行動空間(action space)」と呼び、狭すぎると作業に足りないことがあり、広すぎると誤りが起きやすくなる、としています。
Anthropic の解説は、エージェントは人の指示や対話から始まり、作業がはっきりすると計画を立ててひとりで動き、必要なら人に情報や判断を求めに戻る、としています。各段で道具の結果やコードの実行結果を見て、進み具合を確かめることが大事で、繰り返しの回数の上限などの止める条件を入れることもよくある、と書いています。
気をつけどころとして挙がっているもの
- AI事業者ガイドライン(第1.2版の別添):自律的に動く中で、人の意図に反して商品を注文したり、ファイルを消したりするおそれがある。外のシステムやクラウドと自律的につながる場面が増え、弱点を突かれて動きを不正に操られると、内部のデータが外へ送られて機密が漏れうる。入力の経路や外との連携が増えるため、攻撃される面が広がる。自律性が高まると、AI どうしの速いやり取りに人の監視だけでは対応しにくい場合も十分に想定される、としている
- Anthropic の解説:エージェントは自律的であるぶん費用がかさみ、誤りが積み重なるおそれがある、としている。そのため、外から切り離した環境で十分に試すことと、守りの仕組みを付けることをすすめている。また、より単純なやり方で足りるなら、エージェントを作らない選択も含めて、まず一番単純な方法から始めるよう書いている
ニュースでの出方
- NVIDIA が、AI エージェント(記事の言い換えでは「任された作業を自分で進める AI」)をモデルの外から見張り、動ける範囲の外に出ようとしたら止める仕組みを発表した、という記事
- NVIDIA、AI エージェントを「モデルの外」から見張って止める仕組みを公開。Anthropic など100以上の組織が参加
- OpenAI の、目標を渡すと会話の合間も作業を進める「dots」の記事。同じ日に Meta が小さな会社向けのエージェント「Muse for Small Business」を出したことにも触れています
- OpenAI「dots」。頼まれるのを待たずに動き続けるアシスタント
- OpenAI が上位モデルを出さなかった記事。足りなかった点として「任された範囲と許可の中に収まること」が報じられ、記事はエージェントに任せる範囲の話につなげています
- OpenAI、次の上位モデル「GPT-6.1 Astra」を出さないと決めた。理由は「任された範囲を守れない所」
関連する言葉
- 大規模言語モデル・プロンプトとシステムプロンプト・RAG・MCP・プロンプトインジェクション(→ この欄の別ページ)
出典
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」本編 2026年3月31日、第1部「AIとは」 soumu.go.jp ↗
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」別添 2026年3月31日、別添1(第1部関連)のリスクの例 soumu.go.jp ↗
- Google for Developers「Machine Learning Glossary: Agentic」 developers.google.com ↗
- Anthropic「Building effective agents」2024年12月19日 anthropic.com ↗
- Anthropic「Tool use with Claude」 platform.claude.com ↗
- OpenAI「Agents」 developers.openai.com ↗
- OpenAI「Function calling」 developers.openai.com ↗
確認メモ:2026年10月1日に、上の出典の原文を開いて確かめました。AI事業者ガイドラインは、これまでこの欄で使ってきた第1.1版には AI エージェントの記述が見当たらず、総務省のページに第1.2版(2026年3月31日)が出ていたため、第1.2版の本編と別添を使いました。エージェントの定義は出典ごとに言い方が違うため、1つに決めずに並べています。Google の用語集は、エージェントに関する言葉をまとめたページ(agent・agentic loop・action space・termination condition の項)を読みました。Anthropic の解説は2024年12月のもので、本文の冒頭に道具まわりの事情が変わったという断りがあるため、その断りも書いています。ワークフローの種類(手順をつなぐ・振り分ける等)や、各社の開発の道具(SDK など)の違いは、言葉の説明から外れるため載せていません。「エージェント的なシステム」「行動空間」は、出典の英語(agentic systems・action space)を言い換えたものです。「ニュースでの出方」は、AIログの各記事の無料部分に書かれた内容をそのまま挙げています。国の文書は公共データ利用規約にもとづき、内容を言い換えて使っています(出典:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」本編・別添を加工して作成)。