Anthropic の公式の説明(下の「公式のページ」)を、内容を足さずに読みやすい日本語に書き直したものです。公式の翻訳ではなく、Anthropic が作ったものでもありません。公式は予告なく変わるので、使う前に公式のページもご覧ください。
このページで分かること
- 公式のコツのほとんどが土台にしている「作業の記憶はすぐ埋まる」という1つの制約
- 確かめる手段を渡す、調べる→計画→作る、の順に分ける、具体的に指示する、といった指示のコツ
- 途中での直し方、セッションの区切り方と、公式が挙げるよくある失敗
先に知っておく言葉
- コンテキストウィンドウ:セッションの作業の記憶。会話・読んだファイル・動かした命令の結果がすべて入ります
- セッション:作業しているフォルダに結びついた、ひとまとまりの会話
- トークン:Claude が読み書きする量を数える単位
- 確かめる手段:テストやビルド、画面の見比べのように、Claude が自分で動かして合否を読めるもの。これを渡して合格するまで直しを回させることを、公式は Verification loop と呼びます
- Plan モード:ファイルを書き換えずに、調べて進め方の案を出す権限モード
- CLAUDE.md:あなたが書く、Claude への決まりごとのファイル。会話を始めるたびに読み込まれます
- サブエージェント:自分専用の記憶で作業し、まとめだけを返す手伝いの AI
- チェックポイント:ターンを始める指示を送るたびにできる、戻れる地点
- コマンド:入力欄に
/名前と打って呼び出す指示 - git・コミット:git はファイルの変更の記録を残す仕組み。コミットは、その記録を1つ残すこと
- フック・スキル・MCP:決まった時点で自動で動く処理/必要なときに読み込まれる手順や知識のファイル/外のサービスや道具とつなぐ仕組み
土台にある、1つの制約
公式は、コツの大半が1つの制約から来ているとしています。Claude の作業の記憶はあっという間に埋まり、埋まるほど働きが落ちる、という制約です。1回の不具合調べやコードの見て回りだけで、数万トークンを使うことがあります。埋まってくると、Claude が前の指示を「忘れ」たり、間違いが増えたりすることがあります。公式は、記憶をいちばん大事に管理すべきものとしています。
確かめる手段を渡す
Claude は、仕上がったように見えたところで止まります。確かめる手段が無いと、間違いに気づく役はあなたになります。合否が出るものを渡せば、Claude は作る→確かめる→直す、を合格するまで自分で回します。
- 合格の基準を書く:たとえば、入力の例と正しい答えを並べ、作ったあとにテストを動かすように指示します
- 見た目の変更は画面で比べる:見本の画面を貼り、出来上がりの画面と比べて違いを直すように指示します
- 元の原因を直させる:エラーの文を貼り、エラーを隠さずに原因を直し、成功したことを確かめるように指示します
- 証拠を見せてもらう:「できました」の言葉ではなく、テストの結果や、動かした命令とその返事、画面を見せてもらいます
調べる → 計画 → 作る、に分ける
いきなり作らせると、違う問題を解いてしまうことがあります。公式のすすめは次の4段階です。
- 調べる:Plan モードに切り替え、関係するファイルを読ませます。Claude は書き換えずに読み、質問に答えます
- 計画する:何を変えるか、どういう流れにするかの案を作らせます
- 作る:案を認めて Plan モードを抜け、案に沿って作らせます。公式の例では、テストを書いて動かし、失敗を直すところまで指示しています
- 記録する:分かりやすい説明を付けてコミットさせ、プルリクエスト(変更を取り込んでもらうための申し出)を作らせます
Plan モードの切り替えは、デスクトップアプリでは送信ボタンの横の選択欄、ターミナルでは Shift+Tab です。ただし計画には手間もかかります。変える範囲がはっきりした小さな直し(誤字の修正など)は、そのまま指示します。計画が役立つのは、進め方に迷うとき、いくつものファイルを変えるとき、よく知らないコードを変えるときです。変更を1文で言えるなら計画は省いてよい、とあります。
具体的に指示する
Claude は意図をくみ取れても、心は読めません。
- 範囲を決める:どのファイルの、どんな場面か、テストの好みまで書きます
- 答えのありかを教える:たとえば、変更の記録をたどってまとめるように指示します
- お手本を指す:プロジェクトにある似た部品を示し、同じやり方で作るように指示します
- 症状を書く:何が起きているか、どのあたりが怪しいか、直ったと言える状態は何かを書きます
材料は、@ でファイルを名指しする、画像を貼る、資料の URL を渡す、Claude に自分で取りに行かせる、などで渡せます。まだ探っている段階なら、「このファイルで直すとよいところは?」のようなざっくりした質問も役立ちます。
準備しておくと効くもの
- CLAUDE.md:
/initでひな形を作り、育てます。短く保ち、1行ごとに「消したら Claude が間違えるか」を問い、そうでなければ消します。長すぎると、肝心の決まりが埋もれて無視されます - 権限:信頼できる操作は前もって許しておくと、確認の回数が減ります
- そのほか:決まって毎回やらせたい動作はフック、たまに要る知識や手順はスキル、外の道具とは MCP でつなぎます。プラグインは、これらをまとめて入れるものです
途中で直す・区切る
- ずれたらすぐ直す:
Escで止めても、それまでの記憶は残ります。Escを2回か/rewindで、前の会話とコードに戻せます。「元に戻して」と指示することもできます - 同じことを2回より多く直したら:失敗したやり方で記憶が散らかっています。
/clearで始め直し、分かったことを入れた、より具体的な指示を書きます - 関係ない作業の間は
/clear - 調べものはサブエージェントに:「サブエージェントで◯◯を調べて」と指示すると、大量に読んだ中身があなたの記憶に入りません
- 大きな機能は先に質問させる:Claude に聞き取りをさせて仕様をファイルに書かせ、作るのは新しいセッションで始めます
- 書く役と見直す役を分ける:別のセッションで見直させると、自分が書いたコードへのひいきが入りません。作業を終わりとする前に、サブエージェントに変更を見直させる方法もあります。見直し役は指摘を求められると何かしら挙げるため、正しさや求めた条件に関わる抜けだけを挙げさせ、ほかは任意として扱うように、とあります
チェックポイントで戻るのは、Claude がファイル編集の道具で書き換えたものだけです。命令の実行や外の処理による変更は戻らず、git の代わりにはならない、とあります。
公式が挙げている使いどころ
公式が「よくある失敗」として挙げている形と、直し方です。
- 何でも入れたセッション:1つの作業の途中で関係ない話をはさみ、また戻る → 関係ない作業の間に
/clear - 直しのくり返し:2回直してもだめなら →
/clearして、分かったことを入れた最初の指示を書き直す - 詰め込みすぎた CLAUDE.md:長すぎて半分が無視される → 思い切って削る。指示が無くても正しくできていることは消すか、フックに移す
- 信じたあとで確かめる、の抜け:もっともらしいのに、例外の場面に対応していない → テストや画面などの確かめる手段を必ず渡す。確かめられないものは出さない
- 終わらない調べもの:範囲を決めずに「調べて」と指示し、何百ものファイルを読ませてしまう → 範囲を絞るか、サブエージェントに任せる
最後に公式は、どのコツも決まりではなく出発点だとしています。1つの込み入った問題に深く取り組んでいるときは、会話を溜めたほうがよい場合もあり、探るような作業なら計画を省いてよい場合もある、とあります。うまくいったときの指示の形や渡した材料に気をつけておくように、とも書いています。
あわせて読む
- コンテキストウィンドウ(Context window):作業の記憶がいっぱいになったとき
- セッション(Session):会話を分ける・続ける・名前を付ける
- 権限モード(Permission mode):Claude に聞かずに進めさせる範囲と、切り替え方
- Claude Code の仕組み(How Claude Code works):指示を受けてから、どう動くか
公式のページ
- Best practices for Claude Code(英語・原文)code.claude.com ↗
- Claude Code のベストプラクティス(公式の日本語版)code.claude.com ↗
- Use Claude Code Desktop の「Choose a permission mode」「Keyboard shortcuts」(デスクトップアプリでの Plan モードの切り替え)code.claude.com ↗
- Glossary(用語集。上の「先に知っておく言葉」の言い換えに使いました)code.claude.com ↗
確認メモ:2026年10月1日に、公式のベストプラクティスのページ(英語・日本語)を開いて、土台にある制約、確かめる手段の渡し方、4段階の進め方、具体的な指示の4つの型、途中での直し方、よくある失敗の5つを突き合わせました。デスクトップアプリでの Plan モードの切り替え方は、デスクトップアプリのページで確かめました。公式のページに更新日の表示は無いため、この日付は「このサイトが確かめた日」です。公式のページは約3万6千字あり、指示の例文そのもの(英語のコードの例)、/goal やフックで確かめを強める方法、権限の細かい設定と Auto が最初のモードになる版と契約の条件、CLI ツール・MCP・フック・スキル・サブエージェント・プラグインの作り方の例、claude -p を使った自動化や大量のファイルへの一斉の作業、聞き取りに使う道具の名前は、細かい設定やターミナルだけの操作のため載せていません。「トークン」「git・コミット」「プルリクエスト」の言い換えは公式の用語集に無く、ふつうの意味を一言で添えたものです。「確かめる手段」は、公式の用語集の Verification loop の説明に沿った言い換えです。英語版と日本語版で、このページに載せた中身に違いはありませんでした。